ホウ酸処理・ホウ酸について

生物の「代謝」に関与するホウ素

ホウ酸は腎臓を持たない生物に対して、「代謝」をストップさせることで殺虫剤としての機能を果たします。

 

ホウ素は食塩などと同様、私たちの健康にとって大切な微量栄養素でもあります。では、ホウ素は具体的にどのようにして生命の営みに関わっているのでしょうか。

それには、ホウ素の正四面体の構造が関与していると考えられています。

ホウ素の正四面体構造は、2個以上の水酸基(-OH)をもつ化合物と反応して、強烈なキレート結合を形成する性質があります。

「キレート」とは、ギリシャ語でカニの「はさみ」を意味します。カニが両手のはさみでしっかりと獲物を掴んでいる形がイメージです。

生体内では糖とアミノ酸が重要な働きをします。たとえば、食べ物をエネルギーに変換する代謝反応では、糖、アミノ酸、リン酸などを要素とする多数の補酵素(コエンザイム)が働きます。

ホウ酸は、糖に由来する水酸基とキレート結合を形成し、補酵素の機能を失わせ、代謝をストップさせるのです。この働きが腎臓を持たない生物には致命的に作用します。

ゴキブリ駆除剤のホウ酸ダンゴは、この原理を利用してゴキブリの代謝をストップさせ、死に至らしめるのです。そして、ゴキブリの親戚であるシロアリも同様です。

なので、ホウ酸は害虫の体内に入らなければ殺虫剤としての働きをしません。このような薬剤を「食毒」といいますが、代謝という細胞の基本的な働きと関係しているため、合成殺虫剤のように耐性をもたれることがないのも特徴です。